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銀座の街に「天空からの絨毯」が舞う。現代美術家 小沢剛氏によるウィンドウディスプレイ

現代美術家と共に制作を行っている、当店1Fのウィンドウギャラリー。
12月29日(水)まで、現代美術家 小沢剛氏による、ペットボトルをリサイクルし作り上げた絨毯を使ったディスプレイを展示しております。

銀座中央通り正面から

サステイナビリティや地球温暖化が社会問題として大きく取り上げられるようになり、今でこそ使い捨てプラスチックが大きな問題となっていますが、小沢氏はいち早くこの問題に関心を向け、廃棄されたペットボトルから絨毯を製作しました。
絶景を有する聖山に放置されるペットボトルや、海流にのって漂流し続けるプラスチック。そのようなプラスチックのゴミが、美しく生まれ変わった「空とぶ絨毯」となり、銀座の道行く人々に私たちの未来へのメッセージを投げかけます。

左:小沢剛「天空からの絨毯―チベット」2006年
宙を舞う天空の絨毯。もとの姿は、標高6656mヒマラヤのカイラス山の周囲に落ちていたペットボトルゴミ。天空に近い美しい絶景の足元には登山客や巡礼者が残したゴミが点々と散らばっています。小沢氏は空気の薄い高山で、ペットボトルを拾い集めながら歩きました。集められたペットボトルは中国・天津のリサイクル工場へと送られ、再生された繊維で織られた絨毯は、また天空へと戻っていきます。

右:小沢剛「天空からの絨毯―青島(中国)/釜山(韓国)/対馬(日本)」2007年
大洋を漂う大量のプラスチックゴミ。出自もそれぞれのゴミは、海上で混ざり合い、海流に乗って、異国の地へも流れ着きます。東シナ海を挟む三カ国の浜辺に流れ着いたペットボトルを拾い集め、そのリサイクル繊維から一枚の絨毯へと再生させました。流れ着くペットボトルのラベルの言語もさまざまで、海洋ゴミ問題には国を超えた取り組みが必要であることを痛感させられます。

インスタレーションに使用された、約1,470本のペットボトル

「天空からの絨毯」のインスタレーションには大・中併せて約1,470本のペットボトルが使用されており、展示終了後にペットボトルを無駄にしない利用方法を、このプロジェクトに関わる全ての人達のみならず、その意図に興味を持つ社内有志も参加して考えるワークショップが進められています。「誘発するのが芸術の役割」という小沢氏のアートの本質ともいえるゴールは、2021年の終わりに、銀座の街にどのような答えを投げかけるのでしょうか?

PHOTO:Nacasa & Partners Inc.

小沢剛

美術家 |1965年東京生まれ 埼玉在住
東京藝術大学在学中から、風景の中に自作の地蔵を建立し、写真に収める《地蔵建立》開始。93 年から牛乳箱を用いた超小型移動式ギャラリー《なすび画廊》や《相談芸術》を開始。99 年には日本美術史の名作を醤油でリメイクした《醤油画資料館》を制作。2001 年より女性が野菜で出来た武器を持つポートレート写真のシリーズ《ベジタブル・ウェポン》を制作。13 年には「光のない。(プロローグ?)」で、初の舞台演出、美術を手がける。13年より、歴史上の実在する人物を題材に、事実とフィクションを重ね合わせ、物語を構築する「帰って来た」シリーズを制作。
2004年に個展「同時に答えろYesとNo!」(森美術館)、09年に個展「透明ランナーは走りつづける」(広島市現代美術館)、18年に個展「不完全―パラレルな美術史」(千葉市美術館)、20年に個展「オールリターン」(弘前れんが倉庫美術館)を開催。第69回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(2019年)

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